今回は案外やってしまいそうな方が多い「デスクトップPCの電源ユニットのスイッチを切る」という行為、これは実は特定の場合を覗いて絶対にやってはいけない行為だということをご存知だったでしょうか。
デスクトップPCの電源スイッチをなぜ抜いてはいけないのか?
しっかりなぜダメなのかをお伝えしつつ皆さんに知っていってもらおうと思います。
電源スイッチを切りやすいタイプとNGの理由
- ゲーミングPCのLED装飾をする人
- 節約家
このタイプの方々は注意が必要です。
ゲーミングPCのLED装飾をする人に関して
まず、ゲーミングPCのLED装飾をする方に多いのが、シャットダウンした後にLEDテープライトやメモリ・CPUクーラーなどの電飾が光ったままになるため、主電源のスイッチやコンセントを抜いてしまうという行動です。
まず、LED装飾で使用される電力はプリンターや外付けHDDを使用しておらず、LEDのみの電力供給の場合、せいぜい5-15W程度です。1kWhが25円ほどと想定すると、一日あたり大体5-10円程度の電力を目安としてよいでしょう。
そもそもLED装飾をする方はこれくらいの電力は最低限覚悟しなければならないでしょうし、後述するNGの理由を見ていただければ、趣味にかけるお金としては安いものではないでしょうか。
節約家に関して
まず節約家に関しては「家電の待機電力が敵」という段階まで来てしまっている方、パソコンに限らず様々な家電の寿命を縮めている可能性が高いです。
今回はデスクトップPCのお話なので家電のハナシを避けますが、ハイテク機器ほど待機電力を使って行う処理は重要で、消費電力は限りなく少ないんですね。
間違いなく、節約するポイントは”ここではない”ということになります。
主電源OFFがNGの理由としては
さて、NGの理由ですが、主電源オフ・コンセントぶち抜きは故障のリスクを増やすだけでなく、必要な処理が行われなかったために起動後に必要な処理が増え、結果的に電気代が大して安くならないという問題に繋がります。
そして、安易に主電源を切るという行為は機器の破損やデータの破損に繋がるので、決して「電気代が安くなるから…」「エコでしょ?」というような理由で行って良い行為ではないんですね。
とにかく通常デスクトップPCの電源は抜かない
先程”節約家に関して”の項目でお伝えした 「ハイテク機器ほど待機電力を使って行う処理は重要で、消費電力は限りなく少ない」というのはデスクトップPCにも当てはまり、デスクトップPCは待機電力を使用してbiosの情報を保持します。
これは起動に関する情報も含みますので、待機電力すら切ってしまうとまずはマザーボードに付いているボタン電池から給電を行いbios情報を保持しようとします。
ただし、ボタン電池が切れた時点で給電が起こらなくなるのでこの時点でbios情報を保持することができなくなります。
そして、ボタン電池は一次電池ですから給電は不可能です。
ボタン電池からの電源供給すら断たれてしまった場合は以下のような不具合が起こります。
- biosの時計がズレる
- 正常に起動しなくなる→起動後biosなどに入ります
- ボタン電池切れによるブルースクリーン
①biosの時計が狂ってしまうとファイルの保存時間にズレが生じてしまうため、正常にアプリケーションが起動できなくなる、信頼できる文書としての利用ができなくなるというデメリットが生じます。
②biosの情報が保持されなくなるとHDD/SSDの優先順位も変更される、削除されるの症状が出るため、OSを保持しているドライブが第一優先順位とならなくなる可能性も高いのでbiosに入ってしまったりShell Commandに入ってしまいPCの起動が正常にできないという問題が起こりがちです。
③そして最も原因特定が困難で見落としがちなのがボタン電池切れによるブルースクリーンです。大体他のパーツの不調を疑ってしまうのでボタン電池の電池切れにたどり着くまでに時間がかかってしまうことが多いですね。
もし電池切れが疑われる場合はコイン電池CR2032の安心の国内生産Panasonic製品のものをおすすめしておきます。
旅行中・実家帰省中などはどうする?
旅行中・実家帰省中はどうする?という質問に対しては、こちらも同様に主電源を切らない・コンセントを抜かないようにすることをおすすめしています。
電源を切ってしまう時間が長くなってしまうだけこちらの方がタチが悪く・ボタン電池の電池切れも早くなってしまい自宅に戻ったらPCが起動しなくなってしまうなんていうことも有り得ます。
毎回長期休暇で実家帰省をしたり、長期の旅行から戻ってPCがおかしいぞ?という思いをしている方は電源を抜かずに外出するようにしましょう。
落雷時はどうする?
落雷の恐れがある場合はどうでしょうか。
落雷の危険がある場合は迷わず電源を抜きましょう。
念の為、雷ガードをつけているよ!という方も抜きましょう。雷ガードがある状態で落雷が起こっても突然電源が切れてしまうことでの不具合の可能性や、雷ガードがあってもグラボや記憶媒体など一部に影響が出るというのはよく知られているハナシなので過信しないように。
そして、LANケーブルからサージが流れ込む場合もあるのですべてのケーブル類を抜きましょう。
というかこのような場合に備えてボタン電池が備え付けられているのでこの場合に躊躇しないように心がけておきたいですね。
ただ、雷が落ち着いてからコンセントの挿し直しを忘れてしまうと前述のボタン電池が切れてしまった場合の症状が出てしまう可能性がありますので挿し直しを忘れずに。
しかし、外出中や突然の落雷による停電など、すべての場合に対応できるわけではありません。そこでおすすめしたいのがUPSを使用することです。
車内インバーターでもUPSでも同様の注意点ですが、パソコンには必ず正弦波のものを使用しなければなりません。
矩形波や修正正弦波などではデスクトップPCのような精密機器では電源ユニット・最悪の場合マザーボードがイカれてしまう可能性が高くなります。
二度言いますが、正弦波のものを選び、使用しましょう。
そして、UPSは何か・何をしてくれるのかですが、UPSは無停電電源装置といい、予期しない停電に備え、停電が起こった際にPCを消費電力に応じて10分程度から1時間ほどバッテリーで動作状態を維持してくれるものです。
これを備えておくことで落雷による突然の停電などでもシャットダウンを行うまでの時間の猶予が発生するので、通常の起動だけでなく、大事な処理をよく行う場合や自宅サーバーを置いている場合、すべての場合に対応するまでの時間を作り出してくれます。
数万円かかりますが、PCが壊れてしまうリスクを天秤に取ると安い買い物だと思いますので考慮にいれておくことをおすすめします。